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蒼き狼

蒼き狼

 「上天より命ありて生まれたる蒼き狼ありき。その妻なる惨白き牝鹿ありき」。

モンゴル帝国の歴史書「元朝秘史」では巻頭で次のように述べられている。

 「蒼き狼」は井上靖による、家族5人から200万の騎馬軍団を率いて、アジア・ヨーロッパを席巻するチンギス・ハーンを描いた小説。

初めて「蒼き狼」を読んだのはぼくが高校生のときだった。文庫本一冊で完結し、とても面白かったので一日で読み切ってしまった記憶がある。

スケールの大きさもさることながら、当時のぼくの心に一番響いたのは鉄木真(テムジン、のちのチンギス・ハーン)の出自とそれに苦悩する姿だ。 

 当時のモンゴルは少数民族の戦いに明け暮れる、戦と略奪が日常の世界だった。鉄木真の母、ホエルンも他民族に略奪され、さらに鉄木真の父であるエスガイに略奪され、モンゴルに連れてこられたという経緯を持つ女性だった。その後、エスガイとホエルンの間に産まれた子供たち、鉄木真の弟たちは確実にエスガイの子だったが、鉄木真だけは自分の父がエスガイであるかどうかわからなかった。

エスガイはモンゴル族の族長であり、戦にも強く、モンゴル族の人々から尊敬され、鉄木真自身も強い父を尊敬していた。だが鉄木真がエスガイの子ではない、という噂がモンゴル族の中で流れ、それが鉄木真や彼の弟たちにも伝わり、それが大きな確執となっていく。

 エスガイは不運にも敵対する部族から毒を盛られ、命を落とす。エスガイを失った、モンゴル族の人々は、まだ幼かった鉄木真やその家族を見限り、鉄木真とその家族は彼らだけで戦と略奪の横行するモンゴルで生きていかなくてはならなくなった。

 さらに不幸は続き、鉄木真の弟の中のうち2人が鉄木真に対して敵対的な行動をとるようになった。鉄木真は小さな家族とはいえ、族長の立場から秩序を保つため弟2人のうちのリーダー格の弟を殺すことを決意する。

 次回に続く。

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