蒼き狼(3)
蒼き狼(3)
鉄木真とその家族は成長し、ある程度の勢力を誇るようになっていた。そして鉄木真は妻を迎えた。ボルテという。
鉄木真とボルテは幸せな生活を送っていたが、ある日父エスガイに滅ぼされた部族の残党が復讐のため、ボルテを誘拐した。
鉄木真は協力者を得て、その部族を再度攻撃し、ボルテを奪還するが、ボルテはそのとき妊娠していた。
そしてボルテは男の子を産んだ。ボルテは鉄木真に名をつけるように尋ねた。その男の子が鉄木真の子供であると確実にわからないため、ボルテは鉄木真がその子を殺せと命令するのではないか、ということをとても恐れていた。
鉄木真の心の中はとても複雑な感情が渦巻いていた。その子に愛情を持てるかどうかも自信がなかった。しかし、彼はその子に「ジュチ」という名を与えた。モンゴル語で「客人」という意味である。
このことは鉄木真がその子を許したことも意味した。そして鉄木真はジュチを抱き上げ、言った。「俺は狼になるだろう、お前も狼になれ」。
ぼくが一番好きなシーンはこのシーンだ。
自分自身が背負っている運命と同じ運命をこの子も背負わなければならない。その運命は乱世のモンゴル高原で勝者になることである。同じ運命を背負った我が子ではないかもしれない赤子に対して「父親」が与えうる最大の愛ではないだろうか。
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